2017年7月10日にトヨタのミドルセダン「カムリ」がモデルチェンジされました。
日本ではセダン人気が低迷しており、カムリも今一つといった印象を受けてしまいますが、世界に向けてグローバル展開されており、世界10カ所の工場で生産され、100カ所以上の地域で販売 、累計販売台数は実に1800万台を超えるベストセラーセダンとなっています。
特にアメリカでは大人気車種の筆頭に挙げられており15年間「最多販売車種」の座に輝いています。
8代目となる新型は2017年1月に開催されたデトロイトモーターショーにおいて初公開されましたが、会場には世界中から多くのメディアが押し寄せ、そのスタイリッシュな変貌ぶりに会場からは歓声が上がる一幕もあり、完成度の高さに関心が寄せられていることを伺い知ることができます。
そこで今回は劇的な変身を遂げた「トヨタカムリ」を取り上げてみたいと思います。
目次
カムリはどう変わる?
現行カムリは2011年7月頃から販売されて、日本国内モデルと北米モデルでは前後エクステリアデザインが違うものとなっています。
北米仕様では2.5L直4と3.5LV6、2.5Lハイブリッドの
3モデルが設定されていますが、日本仕様は2.5Lハイブリッド
1タイプのみとなっています。
米国の他、韓国でも2013年にカー・オブ・ザイヤーに輝く功績を遺すほどの人気車種となっています。
一方、日本国内では、オーソドックスなセダンタイプのエクステリアデザインがトレンドにマッチしておらず、よく言えば落ち着いている、悪く言えば少し時代遅れといった印象を受けてしまい販売台数も振るわず、影の薄い存在となっています。
発売された新型のエクステリアデザインはどうなった?
ヘッドランプ&フォグランプの光源をLED化し、省電力化に貢献しています。
ヘッドランプはプロジェクター1灯式で、ロービーム、ハイビームの切替が行える
Bi-Beam(バイ-ビーム)を採用しています。
G“レザーパッケージ”、GにはフルLEDコンビネーションランプが標準装備となり、
下位グレードのXにはテール・ストップ・サイドマーカーランプがLEDとなります。
新型カムリもTNGAを採用
このTNGAプラットフォームは・・・
ボディ開口部に環状骨格構造を採用しボディのねじれ現象を抑制、
優れた操縦安定性を実現しています。
先進溶接技術「レーザースクリューウェルディング(LSW)」
構造用接着剤の使用によりボディ剛性を強化、
超高張力鋼板(ホットスタンプ材)採用範囲を拡大し、
軽量化とともに優れた衝突安全性も確保しています。
新型カムリではTNGA-GA-Kプラットフォームが採用されています。
また、このプラットフォームは3タイプが開発されており、
・GA-Lプラットフォーム
レクサスLSなどラージクラス
・GA-Kプラットフォーム
カムリなどミディアムクラス
・TNGA-Cプラットフォーム
50系プリウスなどコンパクトクラス
を基本骨格として、様々なタイプのモデルバリエーションを
展開していくとされています。
このプラットフォームの特徴を簡単に言うと・・・
・低重心
・高剛性
が挙げられ、その他ではエンジンマウント見直し、新型リアサスペンションの採用などにより、操縦安定性や乗り心地など、車の基本性能が大幅に向上しています。
新型ではこの低重心プラットフォームを基に劇的な変身を遂げ、4ドアクーペの様な流麗なシルエットを特徴としています。
実にスタイリッシュなプロポーションでカッコいいです。
次期レクサスLSを筆頭に、トヨタグループで今後発売されるセダンはクーペ調のアイデンティティーデザインが取り入れらると予想され、2018年にモデルチェンジが予想されるクラウンにおいてもこのトレンドが採用されると言われています。
ボディーサイズは
・全長4,885mm
・全幅 1,840mm
・全高 1,445mm
・ホイールベース 2,825mm
サスペンションは
フロント:マクファーソンストラット式
リア:ダブルウィッシュボーン式
インテリアデザインは?
インテリアデザインはシンプルながらスタイリッシュで、
洗練されている印象を受けます。
一連の動作をスムーズに行えるようにインターフェース化されており、
・カラーヘッドアップディスプレイ
・7インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ(メーターパネル内)
・8インチAVナビゲーションシステム
などから様々な情報を瞬時に把握することが可能となっています。
ひと昔前までは高級車にしか搭載されていませんでしたが、
ようやく一般的になりつつある、電動式のパーキングブレーキ&ホールド
も採用されています。
このカムリのもう一つの特徴として、 G“レザーパッケージ”、Gに採用されている
トータルコーディネートされたイルミネーション照明で、
スマートキーを携帯して検知エリアに入ると室内照明が点灯、
ドアオープンでさらに明るくなる2段階の調光によっておもてなし感を演出しています。
非常におしゃれな車内空間を演出していますよね。
この他にはシェードが電動で開閉できるパノラマムーンルーフもオプション装備されます。
エンジンはどうなるの?
エンジンにおいてもTNGAに基づき新開発されたDynamic Force Engine 2.5L A25A-FXSが搭載されます。
このエンジンの特徴としては、
高速燃焼技術、可変制御システムの採用、排気・冷却・機械作動時などの様々なエネルギーロスを少なくして熱効率を向上させるとともに高出力を両立しています。
同時に緻密な制御による高レスポンス化と全速度域での高トルク化など、最新技術の投入により大幅な性能向上を果たしています。
日本で発売されたカムリではこの2.5Lダイナミックフォースエンジン×ハイブリッドシステム仕様のみとなっています。
・2.5L A25A-FXSエンジン+ハイブリッドTHSⅡ
直列4気筒 2.5L直噴エンジン D-4S
最高出力:178ps/5700rpm
最大トルク:220Nm/3600-5200rpm
・モーター3NM型
最高出力:120PS
最大トルク:20.6kgm
システム出力:211PS
ミッション:電気式CVT
・JC08モード燃費
X:33.4km/L
G、Gレザーパッケージ:28.4km/L
今回はハイブリットモデルのみが発売されましたが、2018年頃には
ダウンサイジングエンジンを搭載したスポーツバージョンが投入されると噂されています。
このエンジンはレクサスブランドのミディアムクラスのセダンやSUVに、トヨタブランドではすでにクラウンやハリアーに搭載され、高い評価を受けています。
2.0L直列4気筒ターボエンジン8AR-FTS
最高出力:238ps/5600rpm
最大トルク:35.7kgm/4000rpm
安全運転支援システムも充実
スタンダードとなりつつある衝突回避支援システムのトヨタセーフティーセンスPが全車標準装備されます。
・プリクラッシュセーフティシステム
(歩行者検知機能付衝突回避支援タイプ/ミリ波レーダー+単眼カメラ方式)
・レーンディパーチャーアラート(ステアリング制御)
・オートマチックハイビーム
・レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)自動停止、保持機能付き
新型カムリでは、この他に予防安全性能も充実、後退時の死角に左右後方から接近してくる車両を検知し自動でブレーキ制御を行なうリヤクロストラフィックオートブレーキ機能をトヨタブランドとして初採用しています。
・インテリジェントクリアランスソナー(リヤクロストラフィックオートブレーキ機能付)
・ドライブスタートコントロール
・ブラインドスポットモニター〈BSM〉
カラーバリエーションはどうなっているの?
・プラチナホワイトパールマイカ(32,400円高)
・エモーショナルレッド(54,000円高)
・アティチュードブラックマイカ
・シルバーメタリック
・スティールブロンドメタリック
・グラファイトメタリック
・ダークブルーマイカメタリック
車両価格は・・・
モデル | ハイブリッドシステム | 駆動方式 | 価格 |
---|---|---|---|
X | 直列4気筒 2.5リッターエンジン+リダクション機構付のTHSⅡ | 2WD(FF) | 3,294,000円 |
G | 3,499,200円 | ||
G“レザーパッケージ” | 4,195,800円 |
販売は全国のトヨタカローラ店、トヨペット店、ネッツ店などで販売します。
少し遅れて先述したスポーツバージョンが投入されると予想されます。
カムリ登場に伴い、ハイブリットセダンの「SAI」がモデル消滅し、その後、今となっては希少になりつつある、V6エンジン搭載のFRセダン「マークX」も販売終了となってしまいます。
下位クラスの「プレミオ」「アリオン」も販売終了になると予想されており、これによりトヨタブランドではミディアムセダンの主力車となります。